序章

1.プロローグ

サバイバルゲーム。それは1970年代に初めて遊戯銃が作られ、そこから歴史が始まったのかもしれない大人の遊びである。現代社会において、趣味に、ストレス発散にと活躍している。時は現代、ここにも1人、サバイバルゲームの魅力に取り付かれたプレイヤーが居た。彼または彼女は類稀なる運動神経と、直感、つまりは閃きによって数々の敵を屠り、欺き、気がつけばサバイバルゲーム界ではちょっとした有名人となっていた。そんな中、ある日手元に謎の銃が送られてきた。宛名も何も無い。ただ無造作にポストに入れられていた。こんな怪しいもの普段なら絶対に開けないが、人間どうかしている時というのはあるものだ。

「おぉ...?コルトライトニング かな、こんなモデル発売されてたっけ...?」

サバイバルゲームで数々の銃を触ってきている。最早バレルを確認する等お手の物、弾は入っていない事を確認しトリガーに指を掛ける。刹那。視界が変わる、正確に言えば自分よりも目線が高くなった様に感じた。というか確実に高い。

「うわっ」

動揺している間に、次々と頭の中に誰かとも知れぬ記憶の様な断片が流れ込んでくる錯覚に陥る。頭では判っている、他人の記憶が入るなんてそんな事ある訳が無いと。だからこれは錯覚なのだ。うん。

「キッド・アントリム...」

だが、これは紛れも無くビリー・ザ・キッドの記憶だと理解する。キッド・アントリムはビリー・ザ・キッドの旧姓、そんな事は知らない筈なのに自然とそれが分かってしまう、頭が痛い...それに酷く気持ちが悪い、このまま倒れてしまいそうだ。だが。

「BoardBreak...?」

記憶の断片。聞いた事が無い呼称。しかしそれがとても重要なモノであると誰かが語り掛けて来る、この記憶の持ち主が重要だと言っている気がする。ふと目を落とし他に何か無いか銃をまじまじと見ていると、包んでいた紙に何か書いてるのに気がつく。

「Wellcome to BoardBreak War!」

その文字を見た瞬間、自分の記憶では無い何かを思い出した。行かなくては、手に入れたのはビリー・ザ・キッドの記憶ともう一つ前の主の記憶。ビリー・ザ・キッドと共に戦い破れ、BoardBreakWarで散った無念の記憶。そしてこの銃へ託した願いと言うには汚れている呪いの様な欲望。

(まさかこんな御伽噺みたいな事に巻き込まれるなんてな)

こんな突拍子も無い事を素直に信じられる自分は異状なのかもしれない。しかしこれ以上に面白そうな事はこの先の人生に無いだろう。そう...例え、死ぬかもしれないとしても。好奇心を抑える事は出来ない。しょうがないだろう?これは性格なのだから。

「...家を出る前に鏡を確認しなくちゃな、大体察しは付くけれど」

その後、彼または彼女の姿を見たものはいない。

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